ステップメール事業起業大失敗

【失敗事例】ステップメール配信スタンド事業で大失敗の巻

1.メールブック配信サービスとは?その概要

メールブック配信サービスという名前は2002年の事業化当時に勝手に名付けていました。毎日1通ずつメールが届く、今でいうところのステップメールの配信サービスです。

ステップメールと聞いてすぐ分かる方だと話は早いのですが、あまり馴染みの無い方もいらっしゃると思うので、ステップメールについて少し説明したいと思います。

比較するサービスとして、メールマガジンと、講座コンテンツをwebで勉強出来るサービスのUdemyなどと比較してみます。

1.メールマガジン

メールアドレスの登録者に対して、一斉メール送信で情報を伝える

(利点)
一括で届けられるのでニュースの配信に向いている
(欠点)
学習コンテンツなどは途中から参加できないので向いていない。
例えば、1日1語英会話といったメールマガジンだと、読んでみたいなと思った時点で既に30話まで終わってしまっている、最初から学習したければバックナンバーで遡って読むしかなくなります。
ちょっと不便ですね。

2.Udemy

例えば、「エクセル入門」といった動画のコンテンツを1000円などで販売していて、1000円払うことで、web上で勉強出来るサービスです。
ものすごい数の学習コンテンツが用意されています。

(利点)
「エクセル入門」など20時間分のコンテンツを一度に見ることが出来る
1000円払えば、すぐに全部のコンテンツを見ることが出来るようになりますので、一気に勉強するぞというアツイうちはいいと思います。
(欠点)
1000円払ったあとで、20時間分のコンテンツが一気に渡されても、気分が萎えますよね。先に、全体のボリュームを見て萎えてしまって気分が続かないこともあるのがデメリットです。

3.メールブック配信(ステップメール配信スタンド)

この2つのメールマガジンとコンテンツ一括ダウンロードの欠点を補うのがメールブックです。

(利点)
毎回1話だけがメールなどで配信されます。
なので15分ほどで読んで学習したり、YouTubeで学習すれば今日の分は終わり。
なんだか達成感を味わえます。
明日になれば、「エクセル入門 第二回」がメールで届きます。
もちろん、設定で1日の配信数を変更することも可能です。
(欠点)
ある程度決まった分量で継続的に学習するのに向いているので、今日は3話分勉強して明日は1話だけといったランダムな感じの学習スタイルには向いていない

こんなステップメールはどこかで見たことはありますでしょうか?

例えば、「副業でもうかる方法をメール配信中」などいろんなサイトで
メールで情報を差し上げますといった形でオファーがあります。
その配信はだいたいがステップメールという仕組みでの配信になっています。

でも、そういうステップメールをカテゴリ毎に分けたような配信スタンドは未だにありません。ニーズが無いよってことなんでしょうか?

まぐまぐの画面、こんな感じで多数のメールブックがカテゴリ分けされて配信されても
いいのではないかと考えた

2.事業立ち上げのコスト&売上結果は?

・特許出願費用(文書作成はwebで探して数万円で依頼、出願は自分で)
・システム開発(パートナー探して無料か安くやってもらった)
・デザインも知り合いのデザイナーに3万円くらいで安く依頼
・月々のレンタルサーバ代数千円?

これに対し、売上もゼロ
(収益化する仕組みがそもそも出来なかった)

有料化に軌道修正していくべきであったが、日中は派遣会社で働く状態だったのでほぼお金も無く、いろいろ変える余裕はなかった

3.特許文書ってこんな感じ

この事業化にあたって、日本初のサービスであったことから、特許出願してから始めました。特許文書というのをあまり見たことがないという方も多いと思うので、一部を抜粋してお見せしますね。

~特許庁に提出した特許申請文書より抜粋~

【発明の詳細な説明】
【0001】【発明の属する技術分野】本発明はコンテンツ分割配信方法およびシステムに関するものであり、より詳細にはコンテンツを分割して登録し、その登録された分割コンテンツを購読者自身が設定した配信スケジュールに従って購読者に配信する方法およびシステムに関するものである。
【0002】【従来の技術】従来、購読者が小説等のコンテンツを読みたいときに、著者のサーバにアクセスして著者のサーバに蓄積されたコンテンツを全てダウンロードするオンデマンド配信方法、および著者が配信業者のデータベースに登録したコンテンツを配信業者に登録されたユーザに配信するメールマガジン配信方法とがある。
【0003】前者によれば、購読者は、好きなときにいつでもコンテンツをダウンロードして読むことができるので、通常の紙ベースの書籍と比べて時間的な制限が無く便利である。一方、後者は、コンテンツが分割して配信されるので、購読者としては読み易い。また、このように分割された場合には各コンテンツ毎に広告原稿を挿入することができ、広告料収入が全体としては増加し、そのために、購読者は無料でコンテンツを手に入れることもでき、さらに、著者にも広告料が入る利点がある。
【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者は、コンテンツを一度にダウンロードすると、ファイルサイズが大きくなり、購読者のサーバ容量および通信回線の負担が大きい。また、購読者がコンテンツの内容を少しだけ見てみたい等の場合でも全てのコンテンツがダウンロードされるので、必要が無いものまでダウンロードしなければならなくなり、不経済である。また、全てのコンテンツを一度にダウンロードしても、途中で飽きが来て最後まで読まない場合もある。また、コンテンツ中に広告が入る場合には、一度のダウンロードで一度しか広告原稿を挿入できないので、広告収入も減少することになる。このような場合には、著者にとっては広告収入が少ないのでコンテンツのダウンロードを有料にし、またはそれができない場合には著者はコンテンツの提供を見合わせることにもなりかねない。さらに、著者がコンテンツの内容を少し変更したい場合でも、コンテンツ全体のページレイアウト等の制限を受けるので、自由にコンテンツの変更ができない。
【0005】一方、後者の場合には、分割されたコンテンツは著者または配信業者の定めたスケジュールに従って配信されるので、購読者は前回のコンテンツの内容を忘れた頃に次号が届き、またはまだ前回のコンテンツを読み終えないのに次のコンテンツが配信されてくる等の弊害があった。また、分割されたコンテンツの各回の配信日が決まっているので、配信の途中から配信業者にユーザ登録をした場合には、従前のコンテンツをすべて一時に読まなければならないという欠点があった。一方、著者から見ると、分割された連続シリーズのコンテンツが全て発行し終ると、すべてがバックナンバーとして公開され、その後は広告収入が入ってこなくなる。従って、著者はコンテンツの改良等を見合わせることにもなりかねない。このために、現在のほとんどのメールマガジンは、ニュースなどのほとんどその場限りのものが多く、内容の濃い、質の高い文芸作品などはほとんどないと言っても過言ではない。
【0006】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、購読者が自分で設定した配信スケジュールに従って分割されたコンテンツを配信してもらうことができる方法およびシステムを提供することにある。
【0007】また、本発明の目的は、分割された各コンテンツに広告原稿が挿入されより多くの広告収入を得ることができるシステムを提供することにある。

こんな感じです。
要するに、従来はこんな問題点があったけれど、今回発明した技術によって、こんな風に解決しますよ。そして、その技術の内容はこんな感じですよということを全部文章で表現する訳です。
書くのもかなり大変ですが、読む審査官も本当に大変だと思います。

まとめ&今日の学び

・Webで無料サービスを行うのは相当大変
・今、同じことをやるとすれば、有料のステップメール配信サービスASPを中心としてそこで収益をあげ、無料のステップメール配信スタンドは客寄せにする
・ただし、この事業を実施したことで学びも多く、こういった事業を構築する能力あるというケーパビリティーを示すのには役立った

金銭的に損失にはなりましたが、学びが多かったです。
学んだこと
・事業を立ち上げる時はこんな順番で準備を進めないといけない
・他の外注先とこんな契約で進めないといけない
・特許出願のやり方
・webサービスを立ち上げるにあたってシステム開発がどの程度大変か

などなど。
ここで得られた学びがその後に役立ちましたし、やはりチャレンジしてよかったなとは思います。

一歩を思いとどまっている方がいらっしゃるなら、まずは一歩踏み出してみて下さい。